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大川 富雄*; 森 昌司*; Liu, W.*; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 小野 綾子
日本原子力学会誌ATOMO, 63(12), p.820 - 824, 2021/12
原子炉設計における効率的な燃料設計および最適な安全評価のために、機構論に基づいた限界熱流束評価技術が望まれている。この長年の技術課題は、近年の詳細解析技術及び計測技術の体系的統合を段階的に進めることで、打開できる可能性がある。このため本研究専門委員会では、将来的な限界熱流束評価技術の構築に向けて、過去の膨大な研究を精査することで必要な知見を整理する。これらの議論を通して、原子炉における機構論的限界熱流束評価技術に必要な研究課題を提示する。Part2では、これまでの限界熱流束機構に関する基礎研究や限界熱流束の予測手法確立に必須な数値解析手法の発展にふれ、課題提起を行う。
小野 綾子; 山下 晋; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
Proceedings of 18th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-18) (USB Flash Drive), p.666 - 677, 2019/08
機構論に基づいた限界熱流束(CHF)予測手法は、軽水炉燃料の最適設計や安全評価に必要である。CHFを予測するためにはバンドル内を流れる気泡の大きさや速度が必要となるが、既存の気泡運動に関する方程式を用いて、複雑な形状の燃料集合体内の気泡の大きさや速度を求めることは不可能である。そこで、本研究では、界面追跡法を用いた数値解析により、直接的に燃料集合体内の二相流データを得る。解析コードは原子力機構で開発しているJUPITERを用い、44バンドル体系において断熱条件で解析した。解析結果と既存の二相流研究データと比較することで解析コードの妥当性を検証し、CHF評価のための数値シミュレーション利用についてその可能性を確認した。
小川 益郎*
JAEA-Technology 2019-010, 22 Pages, 2019/07
円管内流れは、流れが実際に遷移し、遷移流が間欠性を示すにもかかわらず、あらゆる小さな外乱に対して線形的に安定である。このことは、流体力学ではまだ解決されていない大きな課題の一つである。そこで、著者は、これまで誰も気がつかず認識してこなかった事実を初めて指摘する。この事実というのは、「円管内の流れは、流れの剥離によって、円管入り口付近に形成される剥離泡から放出された渦のために層流から遷移し、そして渦放出が間欠的であるために遷移流が間欠性を示す。」というものである。この事実は、円管の入口形状が遷移レイノルズ数に大きく影響することや、第3の遷移現象に分類されている外側円筒が支配的に回転する同心二重円筒間の流れが円管内の遷移流れと同様に流れの剥離によって間欠性を示すといった、多くの実験結果によって裏付けられている。本研究によって、高温ガス冷却炉の熱流体設計において最も重要な課題の一つである熱伝達促進のために、急縮小型の入口形状が遷移開始レイノルズ数をできる限り小さくできることを明らかにした。
Liu, W.; Podowski, M. Z.*
日本機械学会熱工学コンファレンス2015講演論文集(CD-ROM), 2 Pages, 2015/10
強制流動サブクール沸騰を用いた高熱機器の出力は、冷却限界、いわゆる限界熱流束(Critical Heat Flux: CHF)に制限される。定常の核沸騰から逸脱し、不安定な気液共存伝熱である過渡沸騰、あるいは伝熱面温度の著しい上昇をもたらす膜沸騰の開始点として、Departure from Nucleate Boiling (DNB)が限界熱流束と深く関係する。今後の高熱機器の熱設計は、DNBを含む各伝熱過程に対し物理現象に基づいたモデリングを行い、温度の著しい上昇を含む温度過渡変化を計算することによってCHFを予測することが期待されるが、その技術は確立されていない。そこで、本報では、DNB時における伝熱流動を、Liquid sublayer dryoutモデルに基づいてモデリングし、熱伝導方程式を解くことによって液膜厚さや伝熱面温度の過渡変化を得られた。大気泡下の液膜は、蒸発によってdryoutし、DNB発生する過程を予測できたが、実験で確認された、ヒータ焼損につながる温度の著しい上昇が再現されなかった。これを再現するには、DNB発生時の壁面と接触した大気泡速度、及びDNB発生後の過渡沸騰や膜沸騰領域の伝熱をモデル化する必要があると考える。
菊地 賢司; 武田 靖*; 大林 寛生*; 手塚 正雄*; 佐藤 博
Journal of Nuclear Materials, 356(1-3), p.273 - 279, 2006/09
被引用回数:11 パーセンタイル:60.11(Materials Science, Multidisciplinary)核破砕ターゲットモデル反転流部の鉛ビスマス流を超音波で測定した。鉛ビスマス流の測定はこれまでに報告がなく、それは濡れ性が悪いことが原因であることが今回の実験で明らかになった。モデルループは同軸二重管の環状流が反転して管状流に移行するため、流れ場の遷移が非定常となる。鉛ビスマスの駆動は電磁ポンプ,流量測定は電磁流量計で行った。測定の結果、陽子ビームが当たる窓部では流れが淀み、熱伝達特性に影響を及ぼす局所流れの様子がわかった。
Liu, W.; 成合 英樹*
Journal of Heat Transfer, 127(2), p.149 - 158, 2005/02
被引用回数:12 パーセンタイル:45.93(Thermodynamics)サブクール沸騰流動系において、極めて高圧や高流速条件での限界熱流束では、壁面温度が均質核生成温度を超えることがあるため、壁面上の蒸気膜形成が均質核生成により行われる可能性を指摘し、均質核生成の発生に判定基準を提案した。この判定基準に基づき、限界熱流束データの分類を行った。極めて高圧や高流速条件での限界熱流束に対して、均質核生成メカニズムに基づき、機構論的なモデルを作成した。このモデルを実験データで検証し、よい精度で限界熱流束を予測できることがわかった。
江里 幸一郎; 大楽 正幸; 谷口 正樹; 佐藤 和義; 鈴木 哲; 秋場 真人; Ibbott, C.*; Tivey, R.*
Fusion Science and Technology, 46(4), p.530 - 540, 2004/12
被引用回数:14 パーセンタイル:66.01(Nuclear Science & Technology)同軸冷却管を用いたITER用ダイバータ高熱流束機器の製作性実証及び繰り返し加熱時の耐久性実証を目的とした、大型ダイバータ試験体の製作及びイオンビームによる加熱実験の結果について報告する。同軸冷却管は銅合金(CuCrZr)製外管と外表面にねじりフィンを取り付けたステンレス製内管の2本の同心円管から構成される。試験体は炭素系複合材料(CFC)製アーマを冷却管にロウ付けした、垂直ターゲットと呼ばれるものである。冷却管材料であるCuCrZrは析出硬化型合金であるため、ロウ付け時の熱処理によりその強度が大きく異なる。そのため、CuCrZrの強度回復を兼ねたCFC材料とのロウ付け熱処理工程及びロウ材の選定試験を行い、大型試験体を製作した。また、本試験体で採用したアーマ部とバックプレート部摺動機構による冷却管に生じる熱応力の緩和効果を熱・機械解析を用いて検討した結果、摺動機構無の場合と比較して、冷却管に生じる応力振幅・ひずみ振幅は、ともに70%程度に低減していることを示した。本試験体がITERダイバータ熱負荷条件に相当する20MW/m,1000サイクル以上、15MW/m,3000サイクル以上に耐えることを示す加熱試験結果を報告する。この成果はダイバータ製作の技術的可能性を示すものである。
服部 博文*; 佐藤 博; 長野 靖尚*
日本機械学会論文集,B, 70(696), p.1919 - 1926, 2004/08
衝突噴流はよどみ点近傍で高い熱及び物質伝達率が得られるため工業上の広い分野で多用されている。また、衝突噴流は物質・生命科学実験施設に設置される減速材容器の冷却に使用される。そのため、その流動及び伝熱特性を明らかにすることは各種機器の性能を向上させるために重要である。本研究では、平面衝突噴流熱伝達場に着目し、高精度差分法による直接数値シミュレーションを行った。熱伝達場に最も影響する衝突距離をパラメータとして計算を行い、特に局所熱伝達場の第2極大値の出現に対する熱輸送機構を精査した。
戸田 三朗*; 結城 和久*; 秋本 肇
JAERI-Tech 2004-008, 58 Pages, 2004/03
核融合炉の炉心プラズマ周辺に設置される第一壁,ダイバータ,リミターなどの機器は、プラズマから膨大な熱負荷を受けるため、高熱負荷を有効に除去するための技術が必要である。現状では最高で50MW/m程度の限界熱流束値が報告されているが、今後の核融合炉の実用化を踏まえて飛躍的な限界熱流束値の向上が期待されている。そこで、筆者らは「多孔質体内相変化を利用した除熱」と「ミスト衝突噴流による除熱」の2つの定常除熱法を用いて限界熱流束値の極限に挑戦する実験を行い、次の成果を得た。多孔質体を用いた超高熱流束除去実験では、多孔質体がステンレス時に10MW/m,ブロンズ時に34MW/m,銅ファイバー時に71MW/mの定常除熱を実証した。一方、ミスト衝突噴流による局所高熱流束除去実験では、ミストの液滴径や流速を最適化することにより、15MW/mの除熱を達成した。
朝倉 伸幸
プラズマ・核融合学会誌, 80(3), p.190 - 200, 2004/03
現在のトカマク装置の異なるダイバータ形状や粒子排気方式で、共通に理解されてきたダイバータとスクレイプオフ層におけるプラズマ物理現象について説明する。ダイバータ板の上流部での分布を詳細に測定できる計測器の開発、及びシミュレーションコードの改良によって、ダイバータとスクレイプオフ層の物理研究は最近著しく進展した。この中で4つのトピックス:(1)ダイバータ板上流における熱・粒子輸送,(2)バースト的にダイバータへ輸送される熱流及び粒子流,(3)スクレイプオフ層でのプラズマ流,(4)スクレイプオフ層でのプラズマ拡散、に関する最新の研究成果と今後の物理研究課題について解説する。
西原 哲夫; 清水 明; 稲垣 嘉之; 谷平 正典*
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.517 - 524, 2003/12
地球温暖化対策として燃料電池の導入が期待されており、今後、大量かつ安定に水素を供給するシステムが必要となる。原研では試験研究用の高温ガス炉HTTRを用いた水素製造システムの検討を進めている。本報告では、まず、HTTR水素製造システムの技術課題について検討を行った。そして、HTTR水素製造システムの主系統構成、並びに、本システム特有の機器である水蒸気改質器及び高温隔離弁の構造を示した。そして、定格運転時のヒート・マスバランスを設定し、起動運転時のプラント動特性解析をもとに運転制御特性について検討した結果を示した。
麻生 智一; 佐藤 博; 神永 雅紀; 日野 竜太郎; 門出 政則*
Proceedings of ICANS-XVI, Volume 2, p.935 - 944, 2003/07
J-PARCの核破砕ターゲットシステムでは、高い中性子強度・パルス性能を同時に実現できる扁平型構造の非結合型モデレータ、及び、高強度冷中性子ビームを広い立体角すなわち多くの利用者に供給可能な円筒型構造の結合型モデレータを設置する。超臨界水素(1.5MPa,20K)の使用を視野に入れた冷減速材の設計においては、容器構造設計とともに、容器内流動の妥当性を最適化する必要がある。扁平型及び円筒型冷減速材容器に関して、アクリル製の模擬容器を用いた水による可視化流動実験を行い、再循環流や流れの停滞域などの流動場を明らかにした。流動解析結果と実験を比較し、解析コードを検証した。これにより容器構造に対する実機容器内水素の温度分布の予測が精度よく可能となった。
柴本 泰照; 佐川 淳*; 久木田 豊*; 中村 秀夫
混相流, 17(2), p.171 - 179, 2003/06
水/溶融物混相流実験への適用を目的として、局所における流体相判別と温度計測を同時かつ高速で行う複合プローブを開発した。細径の露出型熱電対を用いて、温度測定と同時に、溶融金属・水・蒸気のいずれの相の温度を測定しているかを検出する。100kHzの交流信号を熱電対に印加し、熱電対と接地間の電気イピーダンスを計測することで相判別を行う。交流信号は、アンプで増幅される前にローパスフィルター(LPF)によって温度信号から分離される。初期設計段階では、熱電対が金属相に接触し、電気的に接地されるたびに温度信号に大きなノイズがでる問題が生じたが、LPFを再設計することでこれを改善した。最終設計では、水-溶融物-蒸気各々の相に対して、相表面の高速移動と温度変化の計測に成功した。
井口 正; 柴本 泰照; 浅香 英明; 中村 秀夫
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/04
BWRの水力不安定時には、流量変動に同期して燃料被覆が沸騰遷移とリウェットを周期的に繰り返すことが知られている。著者らは、THYNC試験装置により、実機核燃料と同長、同径の模擬燃料による22管群試験部を用いて、水力不安定実験を行った。その結果、模擬燃料出力を増加すれば、このような周期的沸騰遷移状態が発生し、さらに模擬燃料出力を増加すれば膜沸騰が持続する状態に至り、いずれの場合も模擬燃料温度は逸走しないことを確認した。周期的膜沸騰発生条件は、流量瞬時値が定常沸騰遷移曲線を下回るときで近似できた。持続的膜沸騰は、流量変動の振幅などの振動特性に依存するものの、質量流束変動の中心値が定常沸騰遷移曲線より小さいチャンネル出力で発生した。持続的膜沸騰発生条件は、低圧(2MPa以下),低流量(400kg/m2s以下)の条件では、梅川のモデルとほぼ一致した。高圧(7MPa)では、流量変動1周期間の熱バランスに基礎を置いた実験式とほぼ一致した。TRAC-BF1コードにより、周期的膜沸騰や持続的膜沸騰を予測できた。周期的膜沸騰遷移出力の予測結果はほぼ実験結果と一致したが、リウェット挙動の予測が不適切のため持続的膜沸騰遷移出力はよく予測できなかった。
栗原 良一
Fusion Engineering and Design, 61-62, p.209 - 216, 2002/11
被引用回数:4 パーセンタイル:29.2(Nuclear Science & Technology)高い核融合出力を達成するために、ダイバータは10MW/m以上の高熱流束に耐えなければならない。20MW/m以下の熱流束であれば、タングステンを構造材とした固体壁ダイバータでも除熱可能である。しかし、固体壁ダイバータでは、熱応力のような厳しい機械力学的状態の観点から、20MW/mを超える高熱流束を除去するのは極めて困難である。そのため、固体壁上を流れる液膜により熱を除去する液体ダイバータ概念がオプションとして検討されている。本論文は、液体材料としてFLiBe溶融塩を採用した場合に、高熱流束を受ける自由表面液体の熱流動解析について記述した。有限要素法解析コードADINA-Fにより、45度傾けたSiC/SiC複合材第一壁上をFLiBeが厚さ10mm,初速度0.5m/s,初期温度600で流入するとして計算した。流体の上部表面には、熱流束として25~100MW/mを与えた。液膜内に水車などを設置して二次流れを生じさせることにより伝熱の向上可能性を評価するため、二次流れの効果を等価熱伝導率10kW/mKで模擬した。解析結果から、二次流れを生じさせることにより3~4倍伝熱特性が改善し、100MW/mの熱流束も除熱可能であることがわかった。さらに、液体ダイバータとして固液混相流を使用することで固相の融解熱を利用した熱除去可能性を検討した。
片岡 勲*; 松浦 敬三*; 吉田 憲司*
JAERI-Tech 2002-015, 83 Pages, 2002/03
シビアアクシデントの伝熱流動現象の素過程としての微細液滴流の挙動を明らかにするため、液滴流,環状噴霧流についての現象のモデル化並びに数値シミュレーション手法の確立を行うとともに環状噴霧流の乱流構造についての実験的な研究を行った。液滴挙動のシミュレーションについては、まず、乱流中での液滴挙動計算手法として従来から広く用いられているEddy interaction modelに近年Grahamらが提案している渦寿命及び渦大きさに関する確率モデル及びほかの改良モデルを取り入れることより精度の高い液滴挙動解析コードを開発した。また、従来、おもに噴霧流においてのみ行われてきた液滴挙動解析を環状噴霧流も扱うことができるように、流体解析における境界条件として攪乱波を考慮した液膜の取扱、液膜からの液滴発生と乱流拡散による液膜への液滴伝達、さらに液滴の発生と伝達を考慮した液膜流量計算を同時に評価する手法を開発した。さらに液滴挙動解析のシミュレーションプログラムを複雑な幾何学的体系,初期条件,境界条件に適用し解析を行い、実際の原子炉のシビアアクシデント時解析に適用可能であることを示した。環状流,環状噴霧流における液膜流量,液膜厚さが、気相の平均速度分布,乱流速度分布に及ぼす影響についての実験的研究を行った。環状流における乱流速度分布については、気相単相流にくらべ管断面全域で大きな値を示し、液膜の存在により気相乱流は大きく増加することが明らかとなった。また気相乱流の増加の度合いは液相流量に対する気相流量の割合が多くなるに従い増加した。
神永 文人*
JAERI-Tech 2002-012, 68 Pages, 2002/03
シビアアクシデント時の伝熱現象における1つの素過程として、溶融炉心の長期の冷却特性に対して重要な事象である狭隘流路内の低流量条件下での沸騰熱伝達の解明を行った。自然循環条件下での実験と解析の結果、水を使用した結果とエタノールの一部の結果では、沸騰熱伝達に対する管径の影響が明確に現れ、細い管ほどまた圧力が高いほど熱伝達率が増加し、その値はプール沸騰の場合と比べかなり大きくなることが示された。また流動様式が環状流に遷移し、液膜の蒸発熱伝達が支配的であると仮定して解析すると、熱伝達を良く評価できることが示された。強制循環条件下での実験と解析の結果、ウエーバ数が伝熱様式に重要な影響があることが示された。ウエーバ数が0.15より小さい循環条件(質量流束62kg/ms以上)では、従来の強制循環での沸騰熱伝達とほぼ類似の特性を持つ。また、今回の実験範囲である低質量流束条件であっても、細管であるため対流熱伝達率は大きくなる。そのため、低熱流束領域では対流の効果が大きくなり、見かけ上、沸騰熱伝達が促進される。この場合、限界熱流束は甲藤のL領域相関で予測できる。一方、ウエーバ数が0.2より大きい循環条件(質量流束53kg/ms以下)では、沸騰熱伝達はより促進され、その促進は熱伝達様式が環状流での液膜蒸発熱伝達に遷移するためであることが示された。ただ、限界熱流束は甲藤のL領域相関式よりかなり小さくなる。その原因は、ウエーバ数が大きいため、液膜が伝熱面から剥離しやすくなり、小さな流量変動で、位置的,時間的にドライな状態が伝熱面に形成されやすくなるためである。したがって、低流量での狭隘流路内沸騰熱伝達評価には、実際に流路を流れる流量の考慮が最も重要であることが示唆された。
近藤 昌也; 中村 秀夫; 安濃田 良成; 最首 貞典*; 小幡 宏幸*; 島田 ルミ*; 川村 慎一*
Proceedings of 10th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 10) (CD-ROM), 9 Pages, 2002/00
横型熱交換器を用いた静的格納容器冷却系(PCCS)が検討されている。横型熱交換器の伝熱特性評価のため、水平単一U字伝熱管を用いた実験を行った。実験の結果、伝熱管入口端付近の環状流の局所熱伝達率を既存のモデルが過小評価する傾向があることがわかった。また、同時に行った可視化実験(伝熱管の一部区間に可視窓を取り付け、高速度ビデオを用いて行った)から、環状流の液膜表面に多数の巻波が存在することを確認した。そこで、巻波が液膜を撹拌、伝熱を促進するとの仮定の下に、局所熱伝達率を巻波の時間あたりの通過頻度に対して整理したところ、両者の間には強い相関関係があることを見出し、仮定を裏付けた。さらに、この相関関係を基に、液膜の通過頻度を考慮した、水平管内環状流凝縮熱伝達率を与えるモデルを提案した。
石山 新太郎; 武藤 康; 緒方 寛*; 上戸 好美*
日本原子力学会誌, 43(7), p.708 - 717, 2001/07
被引用回数:3 パーセンタイル:27.07(Nuclear Science & Technology)フィン高さ厚さオフセット長ピッチ,1.2mm0.2mm5.0mm1.6mmの超微細フィンを用いて試作した超細密プレートフィン式熱交換器コア部(=縦横長さ,100mm100mm100mm)の伝熱/流動特性試験を実施し、供試熱交換器の伝熱特性及び圧力損失特性を把握した。その結果、下記結論が得られた。(1)Wietingの予測式と比較して熱伝達率は10%~13%,圧力損失特性は0%~27%それぞれ低い値となった。(2)試験データの解析より、高精度伝熱/流動実験式を導出した。この実験式により実験データは、熱伝導率は90%のデータで偏差5%,摩擦損失係数は85%でデータが偏差5%で整理することができる。
今野 力; 前川 藤夫; 春日井 好己; 宇野 喜智; 金子 純一; 西谷 健夫; 和田 政行*; 池田 裕二郎; 竹内 浩
Nuclear Fusion, 41(3), p.333 - 337, 2001/03
被引用回数:3 パーセンタイル:10.95(Physics, Fluids & Plasmas)ITERで発生する14-MeV中性子に起因するさまざまな核的問題に対処するため、原研FNSでは一連の核融合中性子工学実験をITER/EDAのR&Dタスクとして行ってきた。前回のIAEA会議では遮蔽に関してバルク遮蔽、ギャップストリーミング、核発熱及び誘導放射能実験を発表した。これらの実験を受けて、ITERのより複雑な遮蔽に対する設計精度を実証するために、ストレートダクトストリーミング実験を実施した。また、冷却材喪失事故時の安全性を担保するために、新たに崩壊熱測定実験を開始した。さらに、水の放射化を利用した信頼性の高い核融合出力モニターを開発した。本論文では、ITER/EDAのタスクとして原研FNSで新たに実施したこれらの実験の結果について報告する。